ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教

仏教ベスト盤 ~ ウダーナ ~ を翻訳・解説

ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教 第4章3牛飼いの経 (現代訳・解説)

 


 4.3 牛飼いの経(33)
 このように、わたしは聞きました。
 あるとき、お釈迦様は、コーサラ国を大いなる修行者の僧団と共に、遊行しておられた。
道から外れて。木の根元のところに行き、設けられた坐に坐られました。
 そのとき、牛飼いがお釈迦様のところにやって来て、お釈迦様にご挨拶(あいさつ)して、かたわらに坐り、お釈迦様は法(真理)の話をし、真理を教え、受けさせ、はげまし、感動させました。
 牛飼いは、お釈迦様の法(真理)の話をし、真理を教えられ、受けさせられ、はげまされ、感動させられ、こう申し上げた。
 「尊き方よ、世尊よ、明日わたしの食事をビク衆と共にお受けください」
お釈迦様は沈黙をもってお受けになりました。牛飼いは、お釈迦様がお受けすることを知って坐から立ち上がってお釈迦様にご挨拶(あいさつ)して立ち去りました。
 夜が明けると住居で、沢山の水気の少ない濃厚な粥を準備し新鮮なギーを準備して、お釈迦様にお食事と告げました。
 「尊き方よ、さあ、食事ができました」
お釈迦様は、午前中に、衣を着て鉢と衣料をもって、ビク衆と共に、その牛飼いの住居に、行き設けられた坐に坐られました。牛飼いは、お釈迦様とビク衆を、水気の少ない濃厚な粥で満足させ新鮮なギーで満足させ自らの手で給仕しました。その牛飼いは、お釈迦様が食事を終え鉢から手を離すと、下坐に席を取ってかたわらに坐りました。牛飼いに、お釈迦様は法(真理)の話よって、真理を教え、受けさせ、はげまし、感動させて、坐から立ち上がって、立ち去りました。
 お釈迦様が立ち去ったあと牛飼いは、村のはずれで、襲われ生命を奪われました。
 大勢の修行者が、お釈迦様のおられるところに行き、お釈迦様にご挨拶(あいさつ)して、かたわらに坐った修行者は、お釈迦様にこうたずねた。
 「尊き方よ、その牛飼いに今日覚者とビク衆に、水気の少ない濃厚な粥で満足させられ、
  新鮮なバターで満足させられ自らの手で給仕されたのですが、尊き方よ、牛飼いが男に
  村のはずれで、襲われ、生命を奪われたらしいのです」
   そのときお釈迦様は、このことを知り、ウダーナを唱えました
 
敵が敵になにをする
怨を抱く者は怨を抱く相手になにをする
誤った方に進んだこころが
それよりも悪いことをその人にする
(42)
        以上が第三の経となる。


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 牛飼いが、お釈迦様の講話により感動し、お食事のお布施差し上げた後に殺害されたお話


 ゆがんだ心とは、なによりも悪しきことを行うと詩う



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なにが書いてあるか


(直訳詩)
Diso disaṃ yaṃ taṃ kayirā,
敵が敵に、行うことを
verī vā pana verinaṃ;
怨みある者が怨みある者にする
Micchāpaṇihitaṃ cittaṃ,
邪に向けられて心は
pāpiyo naṃ tato kare”ti.
それよりも悪いことをする



解 説


Diso disaṃ yaṃ taṃ kayirā,
敵が敵になにをする
verī vā pana verinaṃ;
怨を抱く者は怨を抱く相手になにをする
 *なんでもその人に危害・災害を与える
Micchāpaṇihitaṃ cittaṃ,
誤った方に進んだ心が
 *不善なる道のこと
pāpiyo naṃ tato kare”ti.
それよりも悪いことをその人にする
 *見境なく、限りなく、不善なことをする

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