ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教

仏教ベスト盤 ~ ウダーナ ~ を翻訳・解説

ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教 ウダーナについて捕捉

 身近なところから、もう少し説明しろという声を頂いたので、私見ですがウダーナについて補足します。


ウダーナについて


 ウダーナがつくられた目的など、確かなことは解かりませので、ここから記載することは、すべて私見です、ウダーナを読んでの感想を記載しただけと思って頂けるとよいとおもいます。
 ウダーナはパーリ語で記された経典の中の、教蔵・小部の三番目に位置している、お経です


 小部の一覧です
1. 小誦経(クッダカ・パータ)2. 法句経(ダンマパダ)3. 自説経(ウダーナ)4. 如是語経(イティヴッタカ)5. 経集(スッタニパータ)6. 天宮事経(ヴィマーナヴァットゥ)7. 餓鬼事経( ペータヴァットゥ)8. 長老偈経(テーラガーター)9. 長老尼偈経(テーリーガーター)10. 譬喩経(アパダーナ)11. 仏種姓経(ブッダ・ヴァンサ)12. 所行蔵経(チャリヤー・ピタカ)13. 本生経(ジャータカ)14. 義釈( ニッデーサ)14-1. 大義釈(マハー・ニッデーサ)14-2. 小義釈(チューラ・ニッデーサ)15. 無礙解道(パティサンビダー・マッガ)


1~5は、お釈迦様の言葉、いわゆるお経。6~7は天界・餓鬼などの物語。8~9は長老方(お釈迦様の直弟子)の言葉。10~13は説話集(物語り集)。14~15は注釈書。
小部がこのように15種類の経典としてまとめられたのは、お釈迦様が亡くなってから、数百年たったころで、すでに仏教は、一地方で知られた小さな新興宗教から、アシューカ王の後インドで主流を占めていた大宗教という状態の時に、15種類にまとめられたと思われます。
 1. 小誦経は、一般の人々が誦えるために編集され、仏教に入門(出家)する前に読んで(覚えて)おく経典という目的もあったように思えます。
 2. 法句経は、修行者と一般の人々(在家)は、この時代には多くの関わりがあり、いわば世間と会話するときに必要なお釈迦様の言葉として、また、お釈迦様はこのようなことを言ったというように世間に話す答弁集の役割という目的もあり、二番目に置かれたように思います。
 3. 自説経(ウダーナ)は、仏教に入門(出家)する前に、悟るまで覚えておくようにと、授けた言葉をあつめた経典のように思います。5. 経集(スッタニパータ)は、第1~3章と4章・5章は古くから別々に知られていました。スリランカで文字にした時に一つの経典に編集されたのかもしれません。ウダーナは各地区、僧院、師匠ごとに、悟るまで忘れるなと授けたもので、お釈迦様の言葉を、入門前の人にも解るように物語という説明をつけて授けていたものを集めて一つの経典として編集したように思います。
お釈迦様がだれに教えるのでもない、心から口にされたことばを胸に刻み、支えにして、修行の日々をどのように過ごすか、瞑想修行の目標、修行が進んではじめて真意が解る簡潔な深い教えなど、修行が完成するまで一人一人の修行者が、ひとつひとつ心に留めておく教えをあつめた宝石箱のような経典に感じます。 




  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 
  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 




ウダーナ(自説経)はパーリ経典、クッダカ・ニカーヤ(小部)に収録されている経典で詩文と散文で構成されている、一つの経典としてどのように、まとめられたかなどは明らかではありませんが、近年の研究では詩文については、スッタニパータ(ブッダのことば)、ダンマパダ(真理のことば)などと並び最も古い経典でお釈迦様のことばのままを、もっとも伝えている経典と言われています


ウダーナの意義
 一般的にウダーナ は、喜びの言葉、歓喜、感興 というふうに訳されていますが、実は「息を吐く」という意味の動詞から作った名詞です。
何かをやり遂げた時、息を吐いて達成感を感じる。その時、発する言葉です。これは六年間の修行が成功して解脱に達したので、お釈迦様がその達成感を発表している言葉です。
 ウダーナとは
 ・解脱・涅槃はどのような境地か
 ・こころにどのような変化が起きたか
 ・仏道を実践する人は何を参考にすればよいか
 ・他宗教との違いは何か
 ・仏教が語る真理とは、
 等々のポイントが記載されています


ウダーナの具体例を紹介します。
 お釈迦様の最初の説法とされている、転法輪転教という経典があります。ある日、お釈迦様がかつての修行仲間である五比丘に、ご自分の悟った内容である、中道とその実践法である八正道、苦集滅道の四諦、四諦の完成にいたる三転十二行相、を説いた。その時、五人のうちコンダンニャが悟りをひらき、「生じる性質をもつものはいずれも皆、滅する性質をもつのだ」という言を口にした、その姿を見て、お釈迦様は「コンダンニャは理解したのだ。コンダンニャは理解したのだ」と。唱えたと伝わっています。
 お釈迦様が口から発した「コンダンニャは理解したのだ。コンダンニャは理解したのだ」という言がウダーナです。


ウダーナの構成
 第一章はバラモン、 第二章は苦と楽、 第三章は真のビク、 第四章は心 
第五章~第七章は教説の内容などビクが理解すべきこと 第八章は苦の終わり・涅槃


 上記の様に章ごとに主題があり、詩文の説明が散文でされています


 全体の構成は四聖諦に分けて編集されています、四聖諦は互いに関連しているので、明確に分類はできませんが、集聖諦で苦聖集をみて、道聖諦で滅聖諦をみる、という順番で重層的に構成されています。下記の表を見て頂ければ四聖諦つまりお釈迦様の教えのエッセンスが縦糸と横糸を織り込んで布になるような形で、理解できるように一つの経典としてまとめられているのがお分かりとおもいます

第一章の1・2・3、第二章の1、第三章の10が悟りを得た直後の教えとして、縁起と慈悲と四聖諦が凝縮して説かれ、第一章10では無我、第八章1・2・3・4では涅槃が直接的に説かれ、仏教の重要な教えが凝縮されています。第六章4・5・6では論争するなという理由が説かれています。
「群盲象を撫ぜる」「仏道の八不思議」「自己より愛しいものはない」など数々の有名なエピソードが説かれている経典です。

×

非ログインユーザーとして返信する