ウダーナ ~ ブッダのつぶやき 第2章10バッディヤの経 (普及版)
2.10 バッディヤの経(20)
あるとき、お釈迦様は、アヌピヤーに住んでおられた。
郊外のマンゴーの果樹園で、バッディヤが、林でも、木の根元でも、「ああ、楽しい」 「ああ、もう楽しい」と、唱えた。
大勢の弟子は、バッディヤが、「ああ、楽しい」「ああ、もう楽しい」と、唱えているのを耳にしてこう思った。
「バッディヤは、修行している、昔、王様であった時の楽しみを、思い浮かべて、『あ
あ、楽しい』『ああ、もう楽しい』と、唱えたのだ」
弟子たちはお釈迦さまに、こう申し上げた。
「尊き方よ、バッディヤは、林でも、木の根元でも、『ああ、楽しい』『ああ、もう楽し
い』と、唱えてながら、修行をしています。昔、王様であった時の楽しみを、思い浮かべ
ながら、『ああ、楽しい』『ああ、もう楽しい』と、唱えています」
お釈迦さまは語りかけた。
「バッディヤよ、あなたは、林でも、木の根元でも、『ああ、楽しい』『ああ、もう楽し
い』と、唱えたのですか」
「尊き方よ、そのとおりです」
「バッディヤよ、なぜ、『ああ、楽しい』『ああ、もう楽しい』と、唱えたのですか」
「尊き方よ、わたしが昔、一般であったときには、王として権力をふるい、国の守護はし
っかりとしていました。
尊き方よ、このように守られていたのですが、疲れ、疑い深く、恐れながら、住んでいま
した。尊き方よ、わたしは林でも、木の根元でも、独りでいながら、恐れず、疑いなく、
恐れなく、安心して、落ち着いていて、施しで生活し、鹿のような穏やかな心で住んでい
ます。
尊き方よ、わたしは、このようなことで、『ああ、楽しい』『ああ、もう楽しい』と、唱えていたのです」
お釈迦様は、ウダーナを唱えました
自分のこころに自分がいなければ
こうである、こうでない、ということはこえる
そんなひとは、恐れもなくなり
悟りの世界に住んでいる