ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教

仏教ベスト盤 ~ ウダーナ ~ を翻訳・解説

ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教 第7章10ウテーナの(現代訳・解説)


7.10 ウテーナの経(70) このように、わたしは聞きました。
 あるとき、お釈迦様はコーサンビーに住んでおられた。
 ゴーシタの聖園で、ウテーナ王が庭園にいたころ宮殿が焼け落ちてしまい、サーマーヴァティー王妃と五百の婦女が命を終えたのです。
 大勢の修行者は午前中に衣を着て鉢と衣料をもって、コーサンビーに托鉢のために入りました。コーサンビーで托鉢して、食事のあと托鉢から戻り、お釈迦様のおられるところに行き、ご挨拶(あいさつ)して、かたわらに坐った、それらのビクはお釈迦様に、こう申し上げた。
 「尊き方よ、ウテーナ王が庭園にいたとき宮殿が焼け落ち、サーマーヴァティー王妃を筆
  頭とする五百の婦女が命を終えました。尊き方よ、女性の在俗信者たちには、どのよう
  な来世がありますか。どのような未来の運命がありますか」
 「ビクたちよ、女性の在俗信者たちは預流に達して、一来に達し、不還に達していまし
  た。ビクたちよ、女性の在俗信者たちは、無駄に命を終えたわけではない」
   お釈迦様は、このことを知って、ウダーナを唱えました


愚かさに支配されている人々には世の中は
素晴らしいと見える
あらゆる拠り所に引っ張られて、束縛され
無明の闇に取り囲まれ
常恒であるかのように思えてしまう
なにもないと見ている人は、なにも存在しない
(83)
        以上が第十の経となる。


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物語の背景
*マーガンディア妃は恨みを持っていたのです。
*第一妃サーマーヴァティー王妃は預流果に達した仏教徒でした。
*釈尊がコーサンビーに来た時、恨みをはらすためにマーガンディア妃は放火事件を起こし
 たのです。
*比丘たちがこの事件をお釈迦様に報告して質問したのです。
*師よ、その女性在俗信者たちは来世にいかなる境涯(きょうがい)に生まれるのでしょう
 か?



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なにが書いてあるか
(直訳詩)
Mohasambandhano loko,
愚かという縛りがあるのが、世間
bhabbarūpova dissati;
可能な形態があるように見えてしまう
Upadhibandhano bālo,
愚かな人は、拠り所という、縛りがあると
tamasā parivārito;
闇に囲まれている
Sassatoriva khāyati,
常恒に思えるものは
passato natthi kiñcanan”ti.
見ている人にとっては、なにも存在しない



解 説


Mohasambandhano loko,
愚かさに支配されている人々には世の中は
bhabbarūpova dissati;
素晴らしいと見える
 *愚かさに縛られているこの世界は可能なすがたをもっているように見える。
Upadhibandhano bālo,
あらゆる拠り所に引っ張られて、束縛され
tamasā parivārito;
無明の闇に取り囲まれ
Sassatoriva khāyati,
常恒であるかのように思えてしまう
passato natthi kiñcanan”ti.
なにもないと見ている人は、なにも存在しない
 *執著に縛られている愚者は闇にとり囲まれていて、それを常恒なもののように考える
  が、正しく見る者にとってはいかなるものもありはしない
 *無常を体験することは容易なものではありませんということですね。


 一般人に、真理はピンとこないことがあることを、お釈迦様が詩っているのです。一般人にとって分からない。あなた分かろうと頑張っても、あなたにはそれでも常恒に観ますよと。いうことで笑っているのです。

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