7．10　ウテーナの経（７０）
　このように、わたしは聞きました。
　あるとき、お釈迦様はコーサンビーに住んでおられた。
ゴーシタの聖園で、ウテーナ王が庭園にいたころ宮殿が焼け落ちてしまい、サーマーヴァティー王妃と五百の婦女が命を終えたのです。
　大勢の弟子は午前中に衣を着て鉢と衣料をもって、コーサンビーに托鉢のために入りました。コーサンビーを托鉢して、食事のあと托鉢から戻り、お釈迦様のおられるところに行き、ご挨拶（あいさつ）して、かたわらに坐った、弟子はお釈迦様に、こう申し上げた。
　「尊き方よ、ウテーナ王が庭園にいたとき宮殿が焼け落ち、サーマーヴァティー王妃と五
　　百の婦女が命を終えました。尊き方よ、女性の在俗信者たちには、どのような来世があ
　　りますか。どのような未来の運命がありますか」
　「弟子たちよ、女性の俗信者たちは預流に達して、一来に達し、不還に達していました。
　　弟子たちよ、女性の在俗信者たちは、無駄に命を終えたわけではない」
　　お釈迦様は、このことを知って、ウダーナを唱えました

愚かさに支配されている人々に
世のなかは素晴らしいと見える
愚か者はあらゆるとらわれに縛られ
無明の闇に取り囲まれ
いつまでも生きると、思えてしまうが
なにもないと見ている人は、なにもありはしない