ウダーナ ~ ブッダのつぶやき 第6章9走るの経 (普及版)
6.9 走るの経(59)
このように、わたしは聞きました。
あるとき、お釈迦様は、サーヴァッティーに住んでおられた。
ジェータ林のアナータピンディカ長者の聖園で。お釈迦様は、漆黒(しっこく)の闇夜のなか灯明が燃やされている野外に坐っておられたのです。
大勢の蛾(が)灯明のなかに舞い落ちるさだめをうけています。お釈迦様は大勢の蛾が油の灯明のなかに舞い落ちる、さだめをうけているのを、ただ見つめていたのです。
お釈迦様は、ウダーナを唱えました
人は欲しいものに走るが、一番欲しいものに辿り着かない
新しいもの新しいものへと、ヒラヒラ飛んでいく
炎の明かりに落ちる蛾のように、引き寄せられ
見るもの聞くもの欲しいものに飛びつき、焼かれる
