6．4　第一の異教の人々経（５４） 　
　このように、わたしは聞きました。
　あるとき、お釈迦様は、サーヴァッティーに住んでおられた。
　ジェータ林のアナータピンディカ長者の聖園において、大勢のインドの哲学者やかしこい人や行者らが、サーヴァッティーに寝泊まりし、はてしない論争をしています。
（１）「世界は、常恒である。」
（２）「世界は、常恒でない。」
（３）「世界は、無限ある。」
（４）「世界は、無限でない。」
（５）「生命と肉体は同じものである。」
（６）「生命と肉体は別のものである。」
（７）「真理に達した人は死後に有る。」
（８）「真理に達した人は死後に有ることがない。」
（９）「真理に達した人は死後に有ることもあれば、有ることがないこともある。」
（１０）「真理に達した人）は死後に有ることもなければ、有ることがないこともない。
　これこそが真理であり他は無駄な思考である」と
　「これが法（真理）であり、これは法（真理）ではない」
　「これは法（真理）ではなく、これが法（真理）である」と。
弟子達はお釈迦さまにこう申し上げた
　「尊き方よ、大勢のインドの哲学者やかしこい人や行者らが、サーヴァッティーに寝泊ま
　　りし、はてしない論争をしています。
　　弟子たちよ、他のインド行者たちは、盲者であり、道理を知らず、真理を知らず、はて
　　しない論争をしています
　　弟子たちよ、昔このサーヴァッティーに王がいた。その王は家来に語りかけた。サーヴ
　　ァッティーにいる、生まれながらの盲者たちを全て、一ヶ所に集めよ
　　陛下、わかりましたと、その家来は王に答えて、サーヴァッティーにいる、生まれなが
　　らの盲者たちを全て一ケ所に収容して、生まれながらの盲者たちに象を見せました。
　　生まれながらの盲者たちには、ひとりひとり順番に
　　象の頭、象の耳、象の身体、象の鼻、象の足、象の腿（もも）、象の尾、象の尾の先
　　を手でさわらせた。
　　その後に、家来は、生まれながらの盲者たちに象を見せて、その王に言った。
　　陛下、生まれながらの盲者たちは象を手でさわりました。陛下が思いのままに
　　その王はそれらの生まれながらの盲者たちのいるところに近づいて
　　生まれながらの盲者たちよ、おまえたちは象を見たのか
　　陛下、わたしたちは象を見ました　
　　生まれながらの盲者たちよ、どれが象であるのか話してみよ
　　象をさわった、生まれながらの盲者たちは、ひとりひとり順番に、このように言った。
　　陛下、これが象です、それは水がめのようなものです。箕（みの）のような。杭のよう
　　な。鋤（すき）のような。蔵のような。柱のような。臼（うす）のような。杵（はか
　　り）のような。ほうきのようなものです。
　　これが象であり、これは象ではない　これは象ではなく、これが象であると、互いに拳
　　で殴り合いました。
　その王はわが意を得たとなった。
　　弟子たちよ、このようにインドの行者たちは盲者たちで。道理を知らず、真理を知りま
　　せん。
　　はてしない論争をしているのです」と
お釈迦様は、ウダーナを唱えました

教えられた、あてにならないものごとで
哲学者もかしこ人も行者も
自分が正しいと、ケンカする
人は、自分が正しいとしか、ものをみないから