ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教 第4章8スンダリーの経 (現代訳・解説)
4.8 スンダリーの経(38)
このように、わたしは聞きました。
あるとき、お釈迦様は、サーヴァッティーに住んでおられた。
ジェータ林のアナータピンディカ長者の聖園で、お釈迦様は、人々から尊敬され、重んじられ、慕われ、捧げられ、うやまわれ、衣料や食事や寝具坐具や常備薬を受けていた。
ビクの僧団もまた、人々から尊敬され、重んじられ、慕われ、捧げられ、うやまわれ、衣料や食事や寝具坐具や薬を受けていた。
いっぽう、異教の遊行者たちは、人々から尊敬されず、重んじられず、慕われず、捧げられず、うやまわれず、衣料や食事や寝具坐具や薬を受けてなかった。
そこで異教の遊行者たちは、お釈迦様への人々の尊敬を耐えられず、ビクの僧団への人々の尊敬を耐えられずに、女性遊行者のスンダリーのいるところに行き女性遊行者のスンダリーに、こう言った。
「妹よ、親族たちのために働けるか」
「尊い方々よ、わたしは何をすればいいのですか、親族たちのために命でもわたしは捨て
ます」
「妹よ、それでは足繁くジェータ林に通いなさい」
「尊い方々よ、わかりました」と、女性遊行者のスンダリーは異教の遊行者たちに答え
て、足繁くジェータ林に通ったのです。
遊行者たちは、「女性遊行者のスンダリーは、足繁くジェータ林に通っているところ
を、多くの人々にしっかりと見られた」と確かめ、スンダリーの生命を奪って、ジェー
タ林の堀の穴に埋めて、コーサラ国のパセーナディ王のいるところに行き、コーサラ国
のパセーナディ王にこう言ったのです。
「大王よ、女性遊行者のスンダリーが、いなくなりました」
「では、どこにいると、思うのだ」
「大王よ、ジェータ林です」
「それではジェータ林を探しなさい」
異教の遊行者たちは、ジェータ林を探して埋められた遺骸を堀の穴から引き上げて、寝床に載せてサーヴァッティーに運び入れて、道から道へと十字路から十字路へと運び人々を嫌がらせました。
「尊い方々よ、見てくださいサキャ族の者(ブッダ)のサマナのおこないを、これらのサ
キャ族の者のサマナは、恥知らずの者たちで、戒を破り、悪しき法(性質)を守り、嘘
を説き、清浄行などしない者たちです。これらの者たちは自ら法(真理)を護り、正し
い行ないをし、清浄行をし、真理を説き、戒あり、善なる法(性質)の者たちであると
公言するのです。
この者たちは、サマナにふさわしくありません。バラモンにふさわしくありません、サマナのふさわしさを失った。バラモンのふさわしさを失った、サマナのふさわしさがあるというのでしょうか。バラモンのふさわしさがありますか。この者たちはサマナにふさわしくないです。バラモンのふさわしさのない者たちです。どうしたら、人の道を説く者が、女の生命を奪うというのでしょう」
サーヴァッティーの人々は修行者を見ては、不当で暴力的な言葉でもって、悪口をいい、罵りし、悩ませ、困らせます。
「これらのサキャ族の者(ブッダ)のサマナは、恥知らずの者たちで、戒を破り、悪しき
法(性質)を守り、嘘を説き、清浄行などしない者たちです。自ら法(真理)を護り、
正しい行ないをし、清浄行をし、真理を説き、戒あり、善なる法(性質)の者たちであ
ると公言するのです。
これらの者たちは、サマナにふさわしくありません。バラモンにふさわしくありませ
ん。サマナのふさわしさ失った。バラモンのふさわしさは失ったのです。サマナのふさ
わしさがありません。バラモンのふさわしさがありません。この者たちはサマナのふさ
わしさのない者たちです。バラモンのふさわしさのない者たちです。どうしたら、人の道を説く者が、女の生命を奪うというのでしょう」
そこで大勢の修行者は衣を着て鉢と衣料をもって、サーヴァッティーに托鉢に入りました。托鉢のために歩んで、食事のあと托鉢から戻りお釈迦様のおられるところに行き近づいて、お釈迦様にご挨拶(あいさつ)して、かたわらに坐った修行者は、お釈迦様に申し上げました。
「尊き方よ、サーヴァッティーの人々は、ビクを見ては、不当で暴力的な言葉でもって、
悪口をいい、さわぎたて、悩ませ、困らせます。サキャ族の弟子のサマナは、恥知らず
の者たちで、戒を破り、悪しき法(性質)を守り、嘘を説き、清浄行などしない者たち
です。これらの者たちは、自ら法(真理)を護り、正しい行ないをし、清浄行をし、真
理を説き、戒あり、善なる法(性質)の者たちであると言う。
これらの者たちには、サマナにふさわしくありません。バラモンにふさわしくありませ
ん。サマナのふさわしさを失った。バラモンのふさわしさ失ったのです。修行者のふさ
わしさがありません。バラモンのふさわしさがありません。これらの者たちはサマナに
ふさわしくありません。バラモンのふさわしさのない者たちです。
これらの者たちに、バラモンのふさわしさがありません。これらの者たちはサマナにふ
さわしくありません。バラモンにふさわしくありません。どうしたら、人の道を説く者
が、女の生命を奪うというのでしょうと」
「ビクたちよ、その評判は長く有ることはないでしょう。七日だけは有るでしょうが、七
日が過ぎれば消えてしまうでしょう。ビクたちよ、人々がビクたちを見ては不当で暴力
的な言葉でもって、悪口をいい、さわぎたて、悩ませ、困らせるなら、あなたたちはこ
の詩偈でもって彼らを叱りなさい。
嘘をいう者は地獄へ落ちる
犯して私は犯してないと言うのも同様である
どちらとも死後は同じ所へ行く
今後、どこかで卑劣の行為をするものも同様である
修行者は、お釈迦様の目前でこの詩偈を憶えて、人々が修行者を見ては、不当で暴力的な言葉でもって、悪口をいい、さわぎたて、悩ませ、困らせるなら、この詩偈でもって、彼らを叱った。
嘘をいう者は地獄へ落ちる
犯して私は犯してないと言うのも同様である
どちらとも死後は同じ所へ行く
今後、どこかで卑劣の行為をするものも同様である
人々はこう思ったのです。「これらのサキャ族の者のサマナは誓っているのだ」
その評判は長く続きはしませんでした。七日だけは続きましたが、七日が過ぎて消えてしまいました。
大勢の修行者は、お釈迦様のところに行き、お釈迦様にご挨拶(あいさつ)して、かたわらに坐り、こう申し上げた。
「尊き方よ、めったにないことです。尊き方よ、はじめてのことです。尊き方よ、これほ
どまでに見事に語られたのは。世尊によって、ビクたちよその評判は長く続くことはな
いでしょう。七日だけは続くでしょうが、七日が過ぎれば消えてしまうでしょうと。
尊き方よ、消えてしまったのです。その評判が」
お釈迦様は、このことを知って、ウダーナを唱えました
自制心のない人々は、言葉の矢で人を傷つける
戦場に来た象を矢で刺すように
乱暴に吐かれた言葉を聞いても
ビクはこころに怒りを抱くことなく耐える(47)
以上が第八の経となる。
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Abhūtavādī nirayaṃ upeti,
嘘をいう者は地獄へ落ちる
*Abhūtavād嘘をいう者
*他人の欠点を実際には見ないまま嘘をいう者
Yo vāpi katvā na karomi cāha;
犯して私は犯してないと言うのも同様である
Ubhopi te pecca samā bhavanti,
どちらとも死後は同じ所へ行く
Nihīnakammā manujā paratthā’”ti.
今後、どこかで卑劣の行為をするものも同様である
*paratthā
*今後(来世)という言葉は、普遍的な真理であるということを示している。
*業の法則のことで、悪い業を積めば、悪いところに死後は生まれる
*卑劣の行為をすれば同じこと
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なにが書いてあるか
(直訳詩)
Tudanti vācāya janā asaññatā,
自制のない人は言葉で突く
Sarehi saṅgāmagataṃva kuñjaraṃ;
戦場に来た象をも矢で
Sutvāna vākyaṃ pharusaṃ udīritaṃ,
荒っぽく吐かれた言葉を言われても
Adhivāsaye bhikkhu aduṭṭhacitto”ti.
ビクは怒りのない心で耐え忍ぶもの
解 説
Tudanti vācāya janā asaññatā,
自制心のない人々は、言葉の矢で人を傷つける
Sarehi saṅgāmagataṃva kuñjaraṃ;
戦場に来た象を矢で刺すように
*人類に偉大なる貢献をする人々は、他の生命の間で象のように際立って見えるのです
Sutvāna vākyaṃ pharusaṃ udīritaṃ,
乱暴に吐かれた言葉を聞いても
Adhivāsaye bhikkhu aduṭṭhacitto”ti.
ビクはこころに怒りを抱くことなく耐える
*何も出来ない無能の人々は、他を批難、侮辱、軽視、冒涜することで自分の欠点を隠そ
うとする
*そのような世間の態度に乗るのではなく、理性的にアプローチするべきです