ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教

仏教ベスト盤 ~ ウダーナ ~ を翻訳・解説

ウダーナ ~ ベスト・オブ・仏教 第4章6ピンドーラの経 (現代語訳・解説)


4.6 ピンドーラの経(36)
 このように、わたしは聞きました。
 あるとき、お釈迦様は、サーヴァッティー(舎衛城)に住んでおられた。
 ジェータ林のアナータピンディカ長者の聖園(祇園精舎)で、尊者ピンドーラ・バーラドヴァージャがお釈迦様から遠く離れていないところで、瞑想姿で身体を真っすぐに立てて森に住み、托鉢で生き、糞掃衣(ぼろ布で作った衣)を身に着け、三つの衣料だけをもち、求むこと少なく、常に満ち足りていて、世俗の事物から遠く離れ多くの人と不必要に交わらず、精進し、瞑想に専念する頭陀行を修行(衣食住における不要物の放棄を自らに課す)して坐っていたのです。
 お釈迦様は、尊者ピンドーラ・バーラドヴァージャが、お釈迦様から遠く離れていないところで、瞑想姿で身体を真っすぐに立て林に住み、托鉢で生き、糞掃衣を身に着け、三つの衣料だけをもち、求むこと少なく、常に満ち足りていて世俗の事物から遠く離れ多くの人と不必要に交わらず、精進し、向上の心に専念する頭陀行を修行し坐っているのを見ました。
  お釈迦様は、このことを知って、ウダーナを唱えました


他者を批判しない、こころに怒り悩みなく
比丘戒によって自己を戒める
食事の量を知っている
寂しいところに独り寝て坐す
心を超越するように励む
これは覚者たちの教えである
(45)
    以上が第六の経となる。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 



なにが書いてあるか


戒律に関して重要な用語が物語にも満載ですのでパーリ語も記載します


 Piṇḍola尊者が座って瞑想していた
尊者の性格は、
➀āraññiko 住むところは森 ②piṇḍapātiko 托鉢のみで生活する
➂paṃsukūliko糞掃衣(ふんぞうえ)者 ➃tecīvariko 三衣のみを持つ
➄appiccho 少欲 ➅santuṭṭho 満足者 ➆pavivitto 遠離 ⑧asaṃsaṭṭho 執着がない
➈āraddhavīriyo 精進者
➉dhutavādo 頭陀行(づだぎょう) を説く
⑪adhicittamanuyutto. 超越した精神
を実践する者。


釈尊に心を安穏にした聖者が見えます


歓喜の偈を説きます



(直訳詩)
Anūpavādo anūpaghāto,
批判しない、害さない
Pātimokkhe ca saṃvaro;
戒条で統御すること
Mattaññutā ca bhattasmiṃ,
食について量を知る
Pantañca sayanāsanaṃ;
辺境に臥坐する
Adhicitte ca āyogo,
向上の心で専念する
Etaṃ buddhāna sāsanan”ti.
これは、覚者の教えである



➀Anūpavādo
他を批難しない 他人に指を指さない
②anūpaghāto,
こころに怒り、悩みはない(他人の言葉によってこころは動揺しない)
➂pātimokkhe ca saṃvaro;
比丘戒によって自己を戒める
➃Mattaññutā ca bhattasmiṃ,
(身体に必要な)食事の量を知っている
➄pantañca sayanāsanaṃ;
淋しいところに独り臥(が)し、座す
➅Adhicitte ca āyogo,
心を超越するように励。 


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


伝 記


ビンドーラ・バーラドヴァージャ


 コーサンビー国のウデーナ王の輔佐役の子、バラモン出身。ある金持が栴檀香木を空中に掲げ、神通をもって取ったものにあたえようという。かれとマハーモッガラーナとが托鉢のときに、これを見て、かれは神通を現わして取り、プッダに叱責された。師子吼の第一人者といわれる。
 ウデーナ王の庭園に入って坐禅していたとき、王が宮女たちを伴なってここに遊ぶ。王がうたた寝しているあいだ、宮女たちはかれから法を聞く。王は目ざめて怒り、責めたが、かれは神通により逃れた。のち王もブッダに帰依した。ウデーナ王の訪問を受けて、かれは年若い比丘の制欲を語り、王は仏教信者となる。
「テーラガーター」一二三・一二四を説く


一二三 この生命は、食べなければ生きてゆくことができない。食物は心臓(むね)を静かにならしめるものではない、身体は食物に依存するものであるということを見て、私は食を求めに(托鉢に)出かける。
一二四 けだし、かれら(修行者)は、良家の人々からつねに受ける礼拝と供養とは、汚泥のようなものであると知っているからである。細かな(鋭い)矢は抜き難い。凡人は(他人から受ける)尊敬を捨てることは雛しい。
  尊き人・ピンドーラ・バーラドヴァージャ長老は、このように〔二つの〕詩句をとなえた。

×

非ログインユーザーとして返信する